ヴィンターシュ

2023/11/27 16:16


 人形、積み木、ブロック、プラモデル、ままごとセットなどのおもちゃで遊んだ記憶は皆さんにもあるかと思います。私も色々なおもちゃで遊んだ楽しい思い出がたくさんあります。ソビエト時代にもたくさんのおもちゃが生産されていました。今回はソビエトのおもちゃ(フィギュア)について語ってみたいと思います。

 ソビエトのおもちゃは、ソビエトの少年、少女のための共産主義教育の強力な手段であったそうです。子どもの頃から共産主義に触れる仕掛けがおもちゃにもしてあったということのようです。更に、子供用品の外観は厳しい検閲の対象となり、モデルは国家の要求に従って開発されていたそうです。ソビエトの陶磁器同様に国家が画一的なモデルを提示していたようです。でも私にとっては、ソビエトのおもちゃはレトロで懐かしいというイメージです。もしかしたらどこかに「そんな仕掛けがあるのかもとか」、思いながらソビエトのおもちゃ達を見直しましたが、私には何も分かりませんでした。

 おもちゃにも色々とありますが、ソビエトのフィギャーは私の好きなおもちゃのひとつです。特に動物のフィギャーが醸し出す「ソビエトちっく」な感じが大好きです。フィギュアの材質はプラスチック、ソフビなどがあります。色数の少なさや、簡素な作りなど、物資統制のあった社会主義国ならではの素朴な作りが他の国の人形にはない魅力です。どこか懐かしく、ノスタルジーを感じます。特に年代の古いプラスチック製の物はその傾向が強いです。
ソフビはプラスチックに比べてカラフルになり、少し複雑なつくりになってきています。ここでプラスチックとソフビのフィギュアを一体ずつご紹介します。

まずこちらのプラスチックのライオンですが、一見するだけではライオンか判別できないほど簡素化されていて不思議な印象です。胴体を見てみると前足、後ろ足ともに分かれておらず、頭はほぼ球状でタテガミがアフロのように見えます。必要最低限の要素で構成されているこの感じがとても不思議で魅力的です。



こちらはソフビの鳥の人形ですが、先ほどのライオンと比べて、羽やトサカなどの細部の表現や色味がよりリアルになっているのが見て取れると思います。こちらも魅力的ではありますが、個人的にはやはりプラスチックの人形により魅力を感じてしまいます。

買い付けの時にはソビエト時代でも大体いつ製造されたものなのかを聞くようにしています。ソビエトのおもちゃにはその当時の価格が刻印されているものがたくさんあります。それを見ると大体の年代は推測されますが、売り手の旧ソ連地域の人たちも確実なことは言えないようです。プラスチック製のフィギュアは基本的にはソフビよりも年代が古く、その数も年々減ってきているので買い付け価格も少し高めです。

動物のフィギュアで最も人気があるのは熊のミーシャのようです。これは、モスクワオリンピックでマスコットキャラクターとなったからのようです。ソビエト時代のプラスチックのフィギャーを目にすることは次第に減ってきていますが、ソフビのフィギャーは伝統ある保育園や幼稚園などで最近のおもちゃに混じってまだ使われていることがあります。現在の旧ソ連の子どもたちがソビエト時代のおもちゃで遊んでいるっていいなと思います。