2023/09/07 22:36
皆さま、こんにちは!
ヴィンターシュでは「ソビエト食器」を扱っています。ソビエト時代の食器は、社会主義の理念に基づいて国営の陶磁器工場で製造されていました。そのため、どの食器も統一された規格で作られ、ヨーロッパの食器とは違った魅力をもっています。今でも家庭では、新しい時代の食器とともにソビエト食器も使われています。特に地方都市ではよく使われているように感じます。
ロシア人の家庭へ招かれた時、ソビエト時代のカップでお茶を飲みながら、「このカップは結婚した時に買ったものなのよ」、「子どもが小さい時にはいつもこれでミルクを飲んでいたわ」というような昔話を聞くことがあります。食器を通して過去の思い出に触れることができるのです。「ソビエト食器は画一的で面白みがない」という人もいますが、私はソビエト食器の素朴さに魅力を感じています。特に、現地の人々の懐かしい思い出話を聞くことで、さらにその魅力が増します。
ソビエト時代には178の陶磁器工場があったそうです。陶磁器工場の多くは、現在のロシアやウクライナにありました。ソ連を代表する職人たちは、同時に複数の工場で製造作業を行っていたため、柄は同じでも工場が異なる製品があります。ヴィンターシュの商品にも、そうしたものが少なからずあります。
陶磁器の裏に刻まれている刻印を見れば、どこの工場で作られたものなのかがわかります。私はロシア人家庭でお茶をいただく時、その裏面に刻まれている刻印をついつい見てしまいます。「これはコナコヴァですね」などと聞くと、食器の話に花が咲きます。
ソビエト陶器の刻印は動物であったり、模様であったり、工場名のアルファベットであったりします。特に動物はとても可愛らしいです。また、同じ工場でも時代によって刻印が変化しているものもあります。
モスクワ近郊のドゥリョーヴォ磁器工場の刻印を見てみましょう。刻印は鳥のハヤブサです。ハヤブサがどちらを向いているかで製造年代が分かります。例えば、ハヤブサが右を向いているのは1964年から1968年の陶磁器です。
一方、左を向いているのは1968年からソ連解体の年である1991年までに製造されたものです。
このように刻印を見ることで製造年代が分かります。
また、食器の等級が記されているものもあります。陶磁器工場によっては、刻印の色で等級を区別しています。こうしたところに、ソビエト時代には国が製造を全て管理していたことが感じられます。今回はドゥリョーヴォ陶磁器工場の刻印を見ましたが、今後他の陶磁器工場の刻印も紹介していきたいと思います。